園長あいさつ

激動の世の中とよく言われますが、今後世の中の変化のスピードはさらに速くなっていくことが予想されます。その中において幼稚園はどのような役割を担うべきなのか、こどもの幸せ、そしてその育ちに寄与し、人生の根幹になるべき時期をどのように共に過ごすか、園長として何にもまして重要なこととして考えています。 様々な国のさらなる発展の中で間違いなく進んでいく地球温暖化、増え続ける地球人口の中で必ずや生じてくるエネルギーや水や食料の問題、そして発展途上国のさらなる発展とともに生じてくる国際競争の激化など、様々な問題が彼らを待ち受けていることでしょう。私は思います、問題と向き合うことが避けられない以上、問題にしっかり向き合い、そして意欲的に取り組み、たくさんの人の幸せに向かって進んで行ける力を彼らの中に育ててあげたい。できれば、難問に喜んで取り組み、そして楽しみながら解決できる人間の基礎を築きたい。そして私は、この力こそが彼らの未来の幸せにおいて大事なものであると感じています。

  我々「あおぞら」は、上記のような問題をふまえつつ、こどもたちの今の幸せ、そして未来の幸せを見据え、保育・教育を進めて行くことを大事にしています。



「あおぞら」が大事にしているもの

 元 気 で の び の び

 当園のこどもたちにお褒めの言葉をいただく時に「あおぞらのこども達は元気が良くてのびのびしていて、人懐こいね、こどもらしいね」といわれます。元気が良くてのびのびしていて、人懐こい、は社会生活を営む上で大事なものと考えているので大変うれしく思います。実はこどもから元気を引き出すためにはちょっとした工夫があります。大事なことは「受け止めてあげること」。行動の善い悪いにかかわらず、その時のこどもの気持ちをしっかりと受け止めてあげることが大事です。そこにこどもとの信頼関係が生まれ、結果として人懐こさが育ち、元気が引き出されてくるようになります。そして出てきた元気とともに様々な活動を進めていくと、のびのびと自己を発揮し、魅力的な育ちをみせてくれるようになります。そしてこの「受け止めてあげること」は「知育・徳育・体育」のうちの、徳—信頼関係、体—元気の両方のねっこの育ちに重要なこととして、あおぞらでは特に大事にしています。



意欲を育てる

 どうしたら良いか?  →楽しさを軸とした経験をたくさんさせる

技術的に高いものが得られたとしても、その過程が楽しくなかったり辛いものであったりする場合は、その後それをあえてしてみようという気持ちにあまりならないのではないでしょうか?そして楽しくない苦しい経験を積み重ねるとどうなるでしょう?物事に対する意欲徐が々に失われ、だんだんと消極的になってしまうことでしょう。特に幼児期においては、結果はさておき楽しかったという経験がとても大事です。 やってみて楽しかったという経験があれば、またやってみようという気持ちになります。そして何度か取り組むうちに必ず上達します。

 様々なものに取り組んだうえで、あれも楽しかったこれも楽しかったと楽しかった経験がたくさん積み重なっていけば、新たなものに出会ったとき、これも楽しいかもしれないと思うかもしれません。 われわれはこれを目指し、あおぞらでは保育、教育を次のように定義しています。 「保育」とは育ちを保つことであり、育ちを止めることではない。故に具体的な営みとしてはこどもをほめ、より伸ばしてあげることである。 また「教育」は教え育てることであるが、教える中身はそのものごとの「たのしさ」であり、やり方や仕組みではない。「たのしさ」を感じ、興味や関心を持てば、こどもは自らやり方を身につけ、仕組みを理解していくものである。 当然、活動の中には大変なところもありますが、達成感などとの釣り合いを考えて、一連の流れの中で意欲が育つように工夫をしています。



○基礎力 ーこどもの時代を大切にするー

元気でのびのびは大事だけど、それだけで大丈夫?

ご心配はごもっとも、幼児期に育つ力はいろいろあります。我々はその面も大事にして進めております。ただ、それは文字や数の先取りではなく、文字や数が無い世界でこそ育つ力がほとんどと考えています。たとえば文字も数もなければ覚えるときには「しっかり見る」しかありません。文字や数を使って対象を抽象化することができないので、そのものを覚えなくてはならず、記憶力に頼らざるを得ません。そういった時間のかかる、ある意味不便な営みの中で「記憶力」が育ちます。また、しっかりと見る中で様々なものの関連性に気づき「理解力」が育ちます。また、水や砂場などで遊ぶことにより「量や重さの感覚」を身につけ、これは後に抽象概念である「数」を具体性をもって理解するための大切な糸口となります。これらは、様々なこども達とのかかわりの中で経験することにより「判断力」や「まわりの仲間と折り合いを付ける力」であったりと、より幅を持ったものとしてこどもの中に残っていきます。

 幼児期は、文字や数を使って抽象的な事物を頭で理解するよりも、実際に体を使った体験を通して感覚を育てることが大事な時期です。この感覚が、現実世界と抽象の世界とを結びつけるとてもだいじなものであリ、そしてこれらを育てる営みのなかで、記憶力や理解力、判断力やそうぞう力の幅広く強固な基礎が築かれます。そしてその上に小学校で学ぶことがしっかりと積み重なっていきます。記憶力があれば文字数はすぐに覚えます。理解力があれば計算の仕組みを理解して様々な場面に応用することができます。前述の力が育っていれば、小学校での勉強はさほど苦労せず、文字や数も、より上手に使いこなせるようになると考えています。

 あおぞらでは、小学校教育の先取りはせず、この時期にこそ伸ばすべきものを大事にして、日々の生活や様々な取り組み・活動の中で育てていくよう努力しています。

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